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2009年12月24日
般若顔の女達

最近、昔のビデオを整理していると、
小津安二郎監督(1903〜1963)の映画がワンサカと出てきました。
欧米型の映画に比べると、カメラは固定され、
ライティングも特殊なものでもなく極めてオーソドックス。
脚本も特に気をてらうものでもなく、とても普通。
にも拘わらず、その映像は何度見ても引き込まれてしまいます。
数々の名作が彼の手によって作られましたが、
その中でもワタクシの好きな作品の一つに「秋日和」(1960)があります。
昭和の実にいい時代、高度成長期の屈託のない時代を描いた、
高級能天気な名作です。
ところで、小津といえば、
二人の偉大な名優を生み出しました。
言わずと知れた、笠智衆(1904〜1993)と原節子(1920〜)。
もちろん、この「秋日和」にも出演してます。
確かに名優には違いないのですが、このお二人、
とてもヘン。
何がヘンかと言うと、
何をやっても笠智衆。
何をやっても原節子。
それでいて、きちんと役柄の枠に収まっているところが凄くて、
ヘン。
強烈な個性を持っていながら、
普通の父親役や母親役をしてもそれなりに見えるのは小津の手腕でしょう。
笠智衆のヘンさと特異さは、周知のごとくですが、
原節子の場合は、特にヘン。
確かに彼女を見てみると、美しい。
清純派の代名詞のようにたとえられてる、20世紀のミューズです。
全盛期に突然引退して、それ以降は謎。
今もご存命で、鎌倉でひっそりと隱遁生活をなさってるようですが、
その生涯はまるでグレタ・ガルホとそっくりで神秘のベールに包まれてます。
清潔で清純、品性。
それが万人の認める世間の評価です。
でもね、
じっーと彼女の顔を見ていると、
尋常ならざるものが見えてくるのです。
クローズアップされた彼女の顔を見つめていると、
清純でも清潔でも品性でもない、それらとは正反対な、
不純で不潔で卑しいものが垣間見えるのです。
普段は美しい笑みも、
突然、般若の面のような顔に変貌します。
その一瞬はぞっとするほど恐ろしい。
そしてぞっとするほど美しい。
立ち居振舞いにも、それは現れています。
先ほど、卑しいと書きましたが、
彼女が着物を着た時の歩く姿の足元が、それを裏付けます。
座っている時は気にならないのですが、
歩き出したとたん、
ふしだらで不潔な足元になるのです。
実に品性なく、むしろ汚ないぐらいの野婢さです。
手の指先にしてもそう。
場違いなマニキュアを平気で施した爪先は実に不潔で、
役者としての責任に欠けます。
彼女の本質、本性がそんな部分に現れてしまっているのかもしれません。
本性がバレた怖さと美しさです。
小津監督はその本性を熟知していたのか、あるいは知らなかったのか…
もし、熟知していたなら想像以上に見識ある監督でしょう。
そういえば、今をときめく小雪様にしてもそうです。
まさに白い雪のように清純な雰囲気を醸し出しているようですが、
同様に恐ろしい表情を見せる瞬間があるのです。
般若女に変貌する一瞬です。
コマーシャルの映像を見ていても、それを感じ取れて実に怖い。
原節子にしても、小雪にしても、彼女達の尋常ならざる美しさは、
顔とは裏腹な女の本性を映し出しているからかもしれません。
確かにこの二人、醸す雰囲気はそっくりです。
般若面とは、鬼女の顔。
妬み、怨み、苦しみ、怒りをたたえた顔。
妬み、怨みは究極の美女の必須条件かもしれません…
おぉコワッ!
投稿者 tadashi : 2009年12月24日 16:59
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