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2007年03月14日
「洗練」ーオトコはナマがお好き。

オシャレの基本は洗練から、
洗練されたお化粧、洗練された絵画、洗練された物腰、
なんて、よく洗練という言葉を使いますが、
その洗練っていったいナンなんだろうとよく考えます。
こういう時、日本語はとても便利なんですよね。
漢字の字並びをじーっと見つめると、答えがおのずと出ます。
練ったものを洗う事でございます。
練るとは辞書で調べると、
こねる、ねばらせる、精製する、なめす、鍛える、みがく、推敲する…
等であります。
つまりは、手間暇かけて腕によりをかけたり、
熟慮したり、努力して作り上げたものを
サラッと洗い流しちゃうという行為でございます。
例えば、洗練されたオシャレというのは、
いかにブランド品を着ようが、
いかに流行を知り尽していようが、
いかに立派な身分であろうが、
あるいは逆に貧しい生活であろうが、
それをサラッと洗い流して、
年令や身分や教養の表現を抑制した身なりです。
洗練された絵画とは、努力して磨きに磨きをかけた技術も、
一旦洗い落して技巧を感じさせないように見せるセンスでございます。
努力したり、頑張ったり、考えたりしすぎたりすると
汗をかき、ナマ臭くなってしまいます。
そのナマっぽさを洗い流すこと。
垢を流すこと、それを洗練という訳であります。
とは言え、頑張って努力して培ってやっと手に入れた技術や知識を一旦洗い流すというのは、相当に勇気がいること。
できれば、見せびらかしたい、誉めてもらいたいと思うのは当然。
しかし、そこががまんのしどころ。
コントロールできる知性なり余裕が必要となります。
私クシ達、ファッションにおけるメイクの仕事で最も重要なのが
この洗練であります。
いかにモデル達から老いを消すか、
いかにオンナのナマ臭さを取り除くか、
いかにシンプルに見せるか。
コンシーラーひとつにしても、クマを隠し、
オンナの哀れを消し、顔をエレガントに見せるという行為です。
ファッションメイクにおいては洗練さが最も要求される訳です。
ところがです。
この洗練が、全く意味をなさないという場合もあるのです。
ご存知かと思いますが、
私クシはTVの情報ワイド番組の中で「別人マダム」という
小さなコーナーをさせて頂いています。
ごく一般の家庭の主婦の家に伺って、私クシがヘアとメイクをして、
フツーのオバチャンを別人のマダムのように仕立てるという番組です。
私クシが言うのもなんですが、
ほんとうに皆様方お美しく変身なさいます。
お好み焼き屋のオバチャンも
日夜家事と育児に追われるオバチャンも、
皆様セレブマダムのように華麗なる変身をなさるのです。
それは、彼女達からオンナとしてのナマ臭さを
メイクによって排除しているからです。
加齢からくるシミやクマ、
所帯っぽくなった手入れ不足の眉やヘア-スタイル、
野放し状態となった肌ノ
それらを少しファッションぽく丁寧にプロが手をかければ、
誰だって見違えるように美しくなれます。
視聴者からもスタッフからも大反響で
私クシまでが美しくなったようでまんざらでもなく嬉しくなってしまいます。
番組は後半、その華麗に変身を遂げた姿を家族や友人に見せるという
流れになります。
これは隠しカメラで撮るので、その家族や友人は状況が事前に知らず
イキナリドッキリというシチュエーション。
まさに番組のヤマで、視聴者は彼らの反応を固唾をのんで見ることになります。
困ってしまうのはここから。
オバサンの友人や娘達だったら問題はないのです。
彼らは美しくなったマダムの姿を見てキャッキャと手を叩いて喜びます。
困るのが、夫や息子の場合です。
パッと見た瞬間、夫や息子は何とも言えない
戸惑いの表情を浮かべてしまうのです。
誰が見ても美しく変身した妻あるいは母を見て、
彼らは素直に喜べないのであります。
何故?どうして? こんなにきれいになったのに…
そこで私クシはハタと気がついたのです。
「洗練」がわざわいしていると。
ナマのオンナ、ナマの女房、ナマの母の姿を
私クシは洗い流してしまったのです。
オトコはたとえそれが老いていようが、
シミだらけの肌であろうが、野放しの眉であろうが、
ナマのオンナ、ナマの母がいいのです。
オトコはナマがお好きなのです。
考えてみるに洗練されすぎるとナマどころか、
人間味まで取り去ってしまう危険性があります。
オンナ自身はそれでいいかもしれません。
オンナはいつだってお人形になりたいのですから。
しかし、オトコから見ると
そういうお人形のようなオンナは要りません。
洗練された女優というと、まっ先に頭に浮かぶのが、
しかし、彼女からはナマのオンナ、ナマの母、ナマの妻の姿は皆無です。
女性からは憧憬の的であっても、男性からは人気がイマイチだったり、
一生大根と言われたのも
その上質の洗練さを身につけてしまっているからです。
最近の車のTVコマーシャルで気になるキャッチフレーズがありました。
「母は美しくなって僕から離れていく…」
これがオトコの本音かもしれません。
モテるオンナはナマオンナでございます。
投稿者 tadashi : 2007年03月14日 12:49
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