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2006年09月27日

乙女の清め紙。

乙女の清め紙。


〜ローズの香り、5種類のレースプリント入り、ニューピーチ、レースプリント〜
これは一体何の商品コピーかお分かりでございましょうか。

正解は清め紙、言い換えるなら落とし紙、分かり易く言うならティッシュロール、
早い話がトイレットペーパーでございます。

私くしの行きつけのニ流スーパーの家庭用品売場で、
安っぽいピンク色のビニールパッケージに12コセットで包まれて、
いともおしとやかな風情で陳列されております。

new_peach.jpg

ニューピーチと言いながら、なぜだかプリント紙は薔薇。
つぼみと花弁や葉、縁にはピンクのレースプリントが丹念に施され、
おまけにローズからはまことにほど遠いフェイクな香りに包まれております。

見るのも恥ずかしいほどのチープロココの清め紙でございます。

勿論、私くしは買いません。

この安っぽいレースのニューピーチの山を見て
いつもフンと嘲笑ってしまいます
−こんなん、誰が買いはんねん−と。

心とシャツとトイレットペーパーは白の無地に限ると
私くしは信じております。

そもそも、誤解があるかもしれませんが、私くしの部屋は、
皆様が想像してらっしゃるより、思いの外フツウであります。

インテリアは茶を基本にした、シック系ですが、意外と男の館っぽくて、
ロココもフリルもレースもピンクも全くございません。

トイレも極めてシンプルで、マットもタオルもトイレットペーパーも白、白、白。

白がこの世で最も美しいと信じております。

ですから、あのニューピーチの清め紙を買う人の気が知れません。

ところがです。
この見るも恥ずかしい、誰が買いはんねん、と思っていた
トイレットペーパーが実によく売れているのです。

当然買っていくのは乙女オバサン達。

乙女オバサン達のお手洗い必須アイテムのようでございます。


シンプル イズ ベスト


私はこの言葉を信じておりました。
全人類の「趣味の良さ」を計る基準はシンプルにあると。

ところが、乙女オバサン達は違うのです。

シンプルでは物足りない…というより、
むしろ不安になってしまうのです。


シンプル イズ 不安です。


台所のトースターには、必ずフリル付花柄の
お洋服を着せます。

トイレのノブや便座は、夏はパイル地の
冬は毛糸の柄物でくるみます。

ティッシュの箱にも純白のレースの装いをさせ、
ティッシュの婚礼かと見紛うばかりでございます。

台所も洗面所もバスもトイレも、
乙女オバサンの管轄下におかれる場所は必ず
フリル、花柄、レースのお花畑の装いとなります。

察するに、冷たいもの、鋭利なもの、生々しいものを
直視したり、直接触れるのがお嫌なのです。
不安になるのです。

これは、なかなかフツウのオジサン方には理解しがたい事かもしれません。

得体の知れない、訳の分からぬ、うねったフリルよりも、
シャープなステンレスの方が余程美しい清潔ではないのか。

嫁入りティッシュよりも、箱むき出しティッシュの方が、
取り易いし、分かり易いのではないのか。

フツウのオジサンはこう考えるのです。

これもフツウに正しい。


でも、乙女オバサンは「生」は絶対に許せないのです。

「生」は見たくない、聞きたくない、匂いたくない。

ですから、何かで隠したい、覆いたいのです。

臭いものにはフタをしろーです。

だから、オンナは化粧をするーと、これは論理の飛躍でしょうか。
これは、失礼ごめんあそばせ。

話は戻って

人間が排する最も生々しく、穢らわしいもの、それをレース、花柄の
パステルプリントのペーパーで清め払うなんて、
考えば、当然と言えば当然。
勿体無いと言えば勿体無い、
アホらしいと言えばアホらしいかもしれません。

そんな事を考えていた先月或る日、
当家のトイレ棚のトイレットペーパーの在庫がゼロであるのを気付き、
いつものスーパー買いに走ると、
私くし御用達の三枚重ねの純白トイレットペーパーがなんと売り切れ。

あらぬことか、あのチャラけたニューピーチしかないではありませんか!

こりゃあえらいこっちゃでございます。

トイレットペーパーなしの生活なんて考えられません。

背に腹は替られません。

止むを得ません、無いよりマシなニューピーチでございます。

ついに買ってしまいました。

そして取り付けました。

我が家のトイレに

案の上…なんと所帯染みたこと!

あのチープなピンク色のレースプリントのせいか、
トイレだけではなく、部屋全体までもが、
たった一個のロールでぐーんと品格が落ちたようでございます。

そして、あのフェイクな安っぽい香りも
部屋中を充満し、息もできぬほどでございます。

「生」を消すはずのニューピーチが
もっと安っぽい「生々しさ」を醸し出してしまったのです。

これはオンナの下手な化粧と同じ。
「ニューピーチ」を化粧に置き替えてみてください。
おっと、これまた失礼、ごめんあそばせ。

さて、

そんな見るも恥ずかしいトイレットペーパーを使い始めて
早や一ヵ月が経過いたしました。

馴れとは恐ろしいものでございます。

あんなに馬鹿にしていたレース柄も香りもさほど気にならならなくなり…
というか、むしろ楽しみながら、毎朝ガラガラと回している自分に気がつき始めました。

恐ろしや

また在庫がなくなり、スーパーで純白三枚重ねのトイレットペーパーではなく、
あのニューピーチを手にしている自分が恐い。

人間の最も穢れた排出物を完全に対極の世界にある、
レース、花柄、ローズの香りで清めるという行為、

これって、実は正しい行為じゃございません?

この一ヵ月の間に、自分の清め紙の価値観がガラっと180度転換いたしました。

シャツはともかく、
心と清め紙は花柄に限ります。

オバサマ達の不安さを身にしみて感じている、今日この頃でございます。

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投稿者 tadashi : 2006年09月27日 10:24

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