|
―――これから新しくやってみたいことってありますか?
下村 今、『レプリーク』という雑誌でエッセイ書いてるんですよ。これが実は自分では意外だったんですね。
今まで表現することはあっても自分の身体を使ってのことだったから・・・。
ちょっとしたことでエッセイのお話があってイラストまで書いてみて、それがすごく喜んでいただけて、文章とか絵でもお客さんを喜ばすことができるんだって大きな発見があった。それが最近の新しい大きな出来事かな。
―――イラストも描かれるなんてすごいですね。何でも出来ちゃうんですね。
下村 そんなことないですよ。ただ、「読んだ人に楽しんでもらいたい」というのと「観客のために奉仕する」というのは同じなんです。どうしたら喜んでもらえるかなっていうのが、いつもある。喜ぶ顔が見たい。
舞台でも1回でも「あ〜あ、今回良くないね」なんて思われたくないし、できる限り良い意味で裏切り続けたい。
下村看板はそこだっていう感じでずっと来てるので、甘えたくない。できる限りのことはしたいですね。
いつも思ってるのが『情熱は力』ってことなんです。
やっぱり自分にできる最大のことはしたいですね。練習とかしてても、皆に「もう一回、もう一回、もう一回」って言い過ぎちゃって皆がヘトヘトになっちゃう練習ばっかしてて・・・。
今もだし、ずっと僕はそうして来たけれど、100回やって100回できないと、バトンもそうだけど、100回できて本番に1回成功するかっていうことだから、練習こそすべてだ、成功の階段だ、と思ってました。
―――そういう前向きなエネルギーはどこから来るんですか?
下村 やっぱり良いものを作りたいって気持ちからでしょうね。 ―――そういう気持ちはブラスバンドをやっていた子供の頃からあるんですか?
下村 そうなんでしょうね。小学校2年の時からのブラスバンドもすごく盛んだったから、オーディションがあったんですね。そこから何かのために一生懸命練習するって人生なんです。(笑)
それがもう当たり前みたいで、何かのために走ってるっていう感じですね。
この間も(スケートの)伊藤みどりさんとご飯を食べてて、僕たちなんか1年間だけど、彼女の場合は4年をたった3分、5分のためにやるわけですから、そういう練習の話で盛り上がったけれど。(笑)
彼女はあまり練習しないらしくて、どちらかっていうと本番集中型なんですって。どれほど練習してるの?って聞いたら、「実はねもっといっぱい練習してたら、絶対もっと良い成績がとれたけど」って。練習より本番で力が出るタイプみたいですね。僕は練習以上のものは本番で出ないっていう信念があるので・・・(笑) ―――だけど印象的には本番にすごく強そうに見えますが・・・
下村 それを支えるのは練習なんだし、これだけやったから大丈夫ってことだけしかないんですよね。
いつも自信満々で アガらないねって言われるけど、そんなことないんですよ。
ただ練習量だけは誰にも負けないんじゃないかな。
皆よりいつまでも遅くまで残ってる。自分の練習してる姿、人に見せたくないんですよ。
鶴の機織りみたいな感じでね。(笑) 努力してる姿は見せたくないんですね。 ―――下村さんってそういうタイプだったんですか。
下村 そういうタイプなんです。 ―――印象的には個性的で、天才肌で、自信満々で・・・って感じですが。
下村 そういう風に見えるけれど、でも全然違う。 ―――すごく繊細でいらっしゃるんですね。
下村 繊細ですよ。(笑)・・・・・それでね、ちょっとネクラなんですよ。(笑)
すごいポジティブっぽいわりにはすごいネクラなんです。 ―――氷山みたいに反対があるわけですね。それでバランスをとっていらっしゃる。
下村 そうそう。 ―――たまには、ちょっと休憩したいなーってことはないですか?
下村 ありますね。 ―――そういう時は休んじゃうですか?
下村 それが、そういう時は、本当にちょっと具合が悪くなっちゃうんですよね。そうじゃないと休めないですね。
―――四季を休団されていた時もそういう理由だったんですか?
下村 いや、それはね、僕19歳の時に、歌をまったくやったことなくて入っちゃったもんだから、ヤバイ!急がば回れだ!と思って、いったん休団したんです。それでいろいろ歌のレッスンしたりとか、もともとダンサーを志望してたんで『少年隊』の後ろで踊ったり、レコード大賞で踊ったり、そういう仕事してました。
―――『少年隊』が歌っている後ろでバックダンサーですか?ミュージカルじゃなくて?
下村 ミュージカルもやってましたけれど、明菜ちゃんの後ろで踊ってたりね。少年隊の第一回のミュージカル出てたんですよ。(笑) でもある日、誰も僕たちダンサーを観に来てる人がいないんだなって、すごく悲しくなって・・・。
いつか自分を観に来てもらえる人にならなくっちゃ、と思って四季に戻った。
―――それからずっと走ってこられたわけですよね。
下村 そうですね。 ―――私だったらプレッシャーで負けてますね、きっと。
下村 そんなことないと思いますよ。
ただ、四季の良いところは、努力したら役がつくし、役が実績になる。
―――でもすごい人数いらっしゃるから、劇団四季でトップに上がるのは、すごいことですよね。
下村 怖いもの知らずだったから、先生の部屋に押しかけて行って「歌聴いてください」とか、テープを送ったりとか、今の子が絶対にしないようなことをしてた。とにかくアピールしてた。
それはもう、今考えると恐ろしいなって思うんだけど(笑)、その頃はそういうエネルギーがあった。
なんとか上がろうって気持ちがあったんでしょうね。
|