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トップ >劇団四季 下村尊則さんロングインタビュー>1

 

 
今月のいい男vol.2
スペシャルインタビュー
話せば話すほど人間的な奥行きと魅力を感じる、身のこなしの美しさに釘付けになる。 俳優として、ひとりの男性として輝いている下村尊則さんのロングインタビューじっくりとお楽しみください。


[楽屋時間]
 劇団四季の学級委員長!
[第一幕]  心が女になれば、女にもなれる。
[第二幕]  バラのお風呂のイメージ。
[第三幕]  何かのために一生懸命練習する人生!
[第四幕]  宝塚歌劇団と天蓋付きベット。
[第五幕]  美しくあろうとする心が、人を美しくする。

 

  [楽屋時間]
  劇団四季の学級委員長!

 

 


午後1時30分。新名古屋ミュージカル劇場内の応接室で下村さんをお待ちしていると、伸びやかな美しい女性の声で発声練習がはじまった。あ〜あぁ〜あぁあぁあ〜♪ 耳ざわりのいい質と高さとボリュームの声。 今回のインタビューはなんとも贅沢なBGMのなかで行われることとなった。 そこへ素敵なレザージャケット姿の下村尊則さんが登場。ご挨拶の後に、もう練習が始まったんですか?と伺うと、「早く来て、それぞれいっぱいやることがあるのでね」とにっこり。 下村さんも早くから練習されるんですか?「結構早いかな。公演委員長なんですよ、このカンパニーの。学級委員長みたいなもの。新人とか初舞台生も入ってくるし、そのための練習とかもあるし」とお答えになる下村さんの顔に、包容力のある温かい表情を垣間みた。
では、いよいよロングインタビューはじまります。

 
[第一幕]
心が女になれば、女にもなれる。

―――四季入団以前は、バトントワリングでご活躍されていたそうですね。
下村 そうなんです。小学校のとき、ブラスバンド、いわゆるマーチングバンドに入ってて、青森出身なんですけど、全国で1位をとるような有名な小学校でね。そこからデンマークの世界青少年音楽祭に行った。僕はそれまでずっとサックス吹いてたんですよ、サックスプレイヤーになりたいなと思ってて、でもその音楽祭で毛皮の帽子をかぶった指揮者にあこがれて、あーあれをやろうと思ってね。それにはやっぱり勉強しないといけないと思ってバトンをはじめたんです。東京のバトンの第一人者の女性で、日本で初めてバトンを広めた方に習いました。そして世界選手権で3位。全日本で2回グランドチャンピオン。そして全米で優勝したんです。

―――すごいですね。ブラスバンドにしてもバトンにしても小学生の頃から、これがやりたいという意志のある子供だったんですか?
下村 演技する喜びっていうのがずっとあったんですね。華やかな衣裳を着たいっていうのもちょっとあった。田舎だったから、もしバレエとか日本舞踊とかが周りにあったら、そういう世界に行ったかもしれない。たまたまマーチングバンドに入ったのが、いつのまにか俳優になっちゃって・・・。

―――バトントワリングからどうして劇団四季へ?
下村 バトンで19歳の時に全米で優勝したんですね。なんかやり尽くした感じがあって、次にやるものは何だろうと思っていた時に、たまたま日本で上演しているキャッツを観て、へーこういう世界もあるんだって。
それでその年の冬にコーラスラインのオーディションがあって、受けてみたら受かってしまったんです。(笑)
何もしたことがなかったんですよ、芝居とか歌とか。踊りだけはちょっとしたことがあったけど。
思うがままに選んできた。心が動くことに、すごく忠実に生きてきた。
一貫ってわけでもないんだけれど、ブラスバンドにしろ、バトンにしろ、芝居にしろ、人の前で演技するということがつながってますね。

―――同じ役を何度も演じていると、自分と役との境目がなくならないですか?
下村 ああ、それ全くないですね。終わればすぐ自分に戻るし、ぎりぎりまで自分だし。
逆に、たとえば舞台で優しい役をやってると楽屋で凶暴だったり。(笑)
反対の方が多くなってくる。バランス取ろうとしちゃう。
この前も『ユタと不思議な仲間たち』の公演で、日本の女形系の役をした時も、普段はより凶暴になってましたね。役を引きずる方もいらっしゃるんでしょうけれどもね、僕はちょっと反対タイプかな。

―――じゃあ、役者に向いてらっしゃるんですね。
下村 ははは、いやーわかんない。

―――舞台に立つと役にはまりきって変貌されるタイプなんでしょうか。
下村 うーん、やっぱり舞台の上で一生懸命熱演してても、どこかで素の部分とか、コントロールした客観的なところがないと、自己満足みたいなことに終わってしまう気がするので、どこかに冷めてる部分がある。

―――女形をされる時には、どんな役作りをされるんですか?
下村 それは、いま日本舞踊すごく頑張ってるところなんです。板東玉三郎さんのお母様の藤間勘紫恵先生に習ってます。

―――女性の普段の仕草を見て研究されたりはしないんですか。
下村 それはありますね。ただ、昔は女っぽくして女になろうなろうと思ってたけれども、最近思ってるのは、心が女になれば自然に動くかなって。女っぽくしようとすると、なんていうか色物っぽいっていうか、作ったっていうか、気持ち悪いじゃないですか。だから最近は、声が低くても、心が女になってれば女かなって思いますね。

―――男性役、女性役どちらがお好きですか?
下村 別に僕は女形がいっぱいあるわけではないですけど、女形っていうのはやっぱり演技上の最大のチャレンジじゃないですか、俳優にとって。

―――劇団四季随一の個性派俳優と言われるなかで、ハムレット役は逆に異色だと言われているようですが、下村さん自身はどうお考えですか?
下村 変わった役がすごく多かったんだけど、5年ぐらい前にエビータのペロン大統領って役をやったんですよ。初めてそういう大きい立ち役の男が来たんで、すごくそれも新鮮だと思った。ペロンもそうだし、ハムレットもそうだけど、ストレートな感じの役なんでね。役者はその王道があって、いろいろ枝葉があればいいんだけれど、僕は先に枝葉をやっちゃった感じがあるから、逆にいま、すごく新鮮だし、難しい。 今度も『アンドロマック』というギリシャ悲劇でアキレスの子供の役をやるんですね。以前、平幹二朗さんが演じた本当にもう骨太の男って役が来たんですけど、今度もまたそういうストレートもので・・・。最近、そういうの多くなっちゃって。(笑) ストレートな役は、真っ向から行かなきゃいけないから小細工の効かないぶん難しい。

 

[第二幕]
バラのお風呂のイメージ。

―――お洒落な人ってイメージがあるんですが・・・。
下村 そうですか?よく言われるんですよね。そうでもないですよ〜。仕事で人まえに出る時と、出ない時の差が激しすぎて・・・。(笑) 今日は、普段よりちょっと奇麗っぽくしてるかな〜、はははっ。わりと舞台降りて、私生活の何もない時には、もう髭も剃りたくないっていうか、何も飾りたくないっていう意識がある。今回のヘロデの衣裳もキンキラキンですごいんですよね。そのぶんね、普段はニュートラルにしたいなっていうのがあって・・・。
よく女の人でも、ほら半径30メートル以内にいい男がいないと女を放棄する人がいるじゃないですか、本日女休業〜!みたいなの。おばさんたちで温泉に行ったりした時だとかに。ああいう感じになっちゃう。休業〜!ってスイッチオフ!それをうまく使っておかないと、エネルギーを集中したり、放出したりすることが多いから・・・。天日に干しておくような感じかな。

―――じゃあ、表に出てくるお洒落なイメージはどこから来るんでしょう?
下村 お客さんはやっぱり取材された写真だったり露出されたところしか見てないわけだから。よくお客さんとかに『休日はバラのお風呂に入ってるイメージがある』とか言われますね。(爆笑)

―――実際はそうではないんですか?
下村 全然違うんですよ。本当はシンプル好きなんです。(笑)
派手好きとかって思われてるんだけど、服とかも黒が多いし・・・。

―――なんか意外ですね。イメージと違います。
下村 意外ですかね。オーラはなんか不思議なものを放っているらしく、お店とかに行くと『ただ者じゃないですね』とか言われますけどね。なんかどうも普通の人じゃないだろうなって思われますね。だけど昔、蜷川さんが『役者なんて街歩いててふり返られるようじゃないと、つまらない』っておっしゃってましたけどね。