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損を承知でT電機をあっさりと手放したことは、内外にかなりの波紋を呼んだようだった。
「だから言わんこっちゃない・・・」「素人はほどほどに!!」「これで、せっかくM商事で儲けた分までパーになっちゃったの??」などなど、悲壮な言われ方をされつつも、中には「さすがー!」という声もあったのだ。
この「さすがー!」ほど、私の心に響いた嬉しい言葉はなかった。それは、私自身が自分の判断を信じ、血を流す覚悟をもって実行した、まさに「英断」であったからだ。
喜ばしいことに、T電機はあの時の買いの「指値」を一度も上回ることなく、その後もジリジリと200円以上も下落した後、今も低迷を続けている。買った株が上がるのはもちろん嬉しいが、見切りをつけて売った株が下がりつづけるのも、またこれが嬉しいのだ。フフフ・・・。(←これって、結構ひねくれ者?) 「数万円の損なんて、なんのその!」という気分にさせてくれる。あのまま持っていたら、20万以上の損をしていたことになるのだから・・・。
しかし、死んだ子の歳を数えてしまうこの行為って、なぜか無意識にやってしまっている。
ワー悪趣味!!
要は、「上がる」と判断したものが上がり、「下がる」と判断したものが下がる。これが的中するほど気持ちのよいことはないのだった。ついつい、ネット上の「持ち株診断コーナー」なんかに相談にあがってくる他人の株の値動きにまでフムフム、と覗き見してしまう根性が芽生え、最近では、その判断を自分の能力である程度までは行なえるようになりたい!の一心で、いくつものネット證券のページを渡り歩き、情報収集やチャート分析に俄然、余念がなくなっていったのだった。
今やその欲望はネット上の情報にとどまることなく、図書館へ行き、本屋へ行き、「会社四季報」を手にした12月頃には、よくもまあこれを買わずして3ヶ月もの間ぬけぬけとオンライン・トレードをやっていたものだと、我ながら恥ずかしくなってしまった。そして今では、雑誌や四季報は入浴に欠かせぬ友となり、すっかり長風呂になってしまったのだ。
ところで、私は元来のお風呂好きである。初めて会社四季報を買ったその冬から、こよなく愛するバスタイムと世の中のお金の動きを理解したい欲望は見事に手を結び、湯気にさらされてページがブヨブヨの哀れな四季報は、浴室で一番風通しのよい窓の下が、暗黙の置き場所となっている・・・。かくして、儲かっていようが損していようが、1日の終わりにお風呂に浸かる至福のひとときがある限り、ネット株から足を洗えない人生がつづくことになったのであった。人生の終わり頃にはおおいに勉強の成果があらわれ、大金持ちになって、「ああ、いい湯だったぁ〜」と本気で言える身分になっていたいもんだなぁ・・・。
次回は、ちょっとブレイクして「快適ネット生活 〜お買い物編」をお届けしますね。
※専門用語については、「ちょっと一息、用語について」をお読みください。
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