| 今回は、イラン映画です。
観る人によってはいろいろに映るでしょう!
楽しかったり、嬉しかったり、切なかったり。
だって、初恋の物語だから。
2003年の飽食の日本に於ては、
既に忘れ去られてしまっている(誰も知らない)感覚がそこにはあります。
(あたしは、まあまあ古いからと〜っても切なかったの。
んなこと言うと、また今月も!?なんて思われちゃうかも…、
でも本当、そうだったの。)
映画はまず、ナン屋(イランだからパン屋じゃないの)さんのシーンから始まります。
粉をねって、ねって、ちぎって、まるめて、パンの上にのばして焼く、
くるっとまわって焼き上がったナン、それはそれは美味しそうなの。
朝のナンを買う行列です。
それがラティフの役目だから。一枚づつ数えて、人数分を買います。
次に万屋(よろずや)さんに行きます。
そして、寄り道をしながらも辿り着くのは、ビルの工事現場。
そう!ラティフの役目は工事現場のまかないさん。
お茶を運んだり、煙草をとどけたり!
ところが、着いてみるとなにやら事故があった様子!
かけよるラティフ、どうやら人夫(アフガン難民の不法就労者)
の一人がトラックに乗せられて病院へ…
しかし何も無かったようにいつもの仕事場に。
次の日、その人夫の代わりにまたひとりやってきます。
あまりにもひ弱だから、その子は失敗ばかり。
現場監督は、そんなんじゃ雇えないと思いつつ
「ならラティフの仕事をお前がやれ!」と言います。
要は、配置転換を命じられるの。
っとなるとラティフはこれまでの楽な仕事から、厳しい仕事になります。
自分の仕事を奪ったそいつにむっちゃ腹が立つラティフ。
他の人夫はそんなこと気にもかけてないのに、
「ちぇっ!」なんておもいつつつい意地悪をします。
そうやってそいつに干渉しているうちにあることを発見してしまいます!
さあ大変。
そんなひょんなことが切っ掛けで、ラティフはどんどん変わって行きます。
どう変わるのかは、この映画を観てのお楽しみ。
貴方の初恋はどんなだった?
詩に例えるなら
砂山の砂に、
砂に腹ばい、
初恋のいたみを、
遠く思いいずる日 (石川啄木)
なんてのもありましたね〜
小説だと
「愛と誠」って漫画には、ツルゲーネフの初恋が登場しました。
チャン・イーモウの映画にも『初恋のきた道』ってのがありました。
そしてこの映画には愛までもが描かれています。
しかも「無償の愛」
私、藤田は、恋と愛は別物だと思っていました。
でもどうやら、違うみたいなの!
そこらへんを、是非ともこの映画で味わってみて下さい。

【監督】
『運動靴と赤い金魚』(97)『太陽は、僕の瞳』(99)のマジット・マジティ
これまでは、もうちょっと小さな子供のお話しが多かったのです。
でも今回は、青春期を描いています。
【主演】
ラティフ(意味はデリケート) ホセイン・アベディニ。
彼は、以前にも同じ監督の作品に出ているのだけれど、
スカウトされた当時と変わらず、
果物屋さんで働いているらしいです。大学に行く準備なんかもしながら。
バラン(意味は恵みの雨) ザーラ・バーラミ
アフガン難民キャンプをまわって発掘されました。
今回がデビュー作になります。
貧しい日々の生活のなかにも、キラキラ輝く美しいものはいろいろあって、
そのひとつひとつが丁寧に表現されています。
言葉なんてわからなくても、凄くうるさい音が鳴っていたり、
鳩が静かに餌をついばんでいたり、
赤や緑や黄色など綺麗な色からいろんなインスピレーションも
受けます。勿論人の言葉からも。
例えば、街角の靴の修繕屋さんだったり、労働者だったり、
万屋の主人だったり、現場監督だったり…。
なぜ今この時代にこういう映画があるのか
って意味をじっくりかみしめてみたい素晴らしい作品です。
いろんな人種や文化や歴史があるからこそ、
それらと共生して行く、今なのでしょう。
今回は★がいくつなんて言えない。
兎に角観なさい! 03.05.01 |